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日本初上演となるミュージカル『The View Upstairs -君が見た、あの日-』が2022年2月1日から日本青年館ホール(東京都新宿区)ほかで上演される。
ニューオリンズに実在した「アップステアーズ・ラウンジ」という同性愛者クラブで1973年に実際に起きた放火事件を題材に、ブロードウェイ新進気鋭の若手作家、マックス・ヴァーノンが作・作詞・作曲を手掛けた本作。2017年に米オフブロードウェイで初演され、今回が日本初上演となる。
開幕を前に、マックス・ヴァーノンにオンラインでインタビューを実施した。マックスは「日本での上演は、月にも昇るような気持ち」と喜ぶ。学生の時に4年近く日本語を学び、さらに日本でホームステイ経験があるというマックスは「(日本での上演は)自分にとって素晴らしいギフトのような出来事でした。海外でも本作は上演されていますが、日本のお客様はまた違った反応を示してくださるのではないかと思っています」。
改めて『The View Upstairs』が誕生した経緯を尋ねた。マックスは大学時代にジェンダーとセクシュアリティを専攻し、「世界中からやってきた専門家たちのセオリーを聴いたり、自分たちも20ページにわたるエッセイを書いたり、深く学んでいました」。
ある日、32名が亡くなったニューオリンズで起きたアップステアーズ・ラウンジ放火事件をインターネット上の情報で知ったマックス。教授らに事件のことを尋ねるも、誰も知らなかったという。
「今アメリカではLGBTQが大きなムーブメントになっているけれど、この事件のことは誰も知らなかった。自分がそこに光を当ててみたいと思いました。悲劇的に描くのではなく、そこにいた人々にもそれぞれに背景があって、笑ったり、情熱を持ったり、人生に喜びを持って生きていたのだと思いながら、追悼の意味を込めて、作品化しました」。
コロナ禍はまだ終息していない。マックスにブロードウェイの現状を尋ねると、「何も確実なことがない時代。プロデューサーたちがリスクをとることを恐れなくなっている」と話し、「自分も30代ですが、50歳以下の若い才能が次々と出てきているように感じます」。マックス自身、今年の秋にK-POPを題材にしたミュージカルを上演する予定で「今まで誰も観たことがない、聴いたことがない、そんな作品を手掛けていきたいです」と意気込んでいた。
今回日本版で主演する平間壮一と小関裕太については「2人とも才能があるし、全く心配していないです。自分がこの作品を生み出しましたが、ぜひ彼ら自身には日本の観客に向けて、また新たな作品づくりをしてほしい。リスクを犯すことを恐れずに、目一杯楽しんで演じて欲しい」と語り、日本の観客に対しては「この作品を通して、いつも自分自身に正直に、本当の自分でいることを大切にしてほしいと伝えたい。そして、過去から学び直して、この世界をより美しいものにしてほしいと願っています」とメッセージを送った。
取材・文:五月女菜穂
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