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段田安則と林遣都が名作『セールスマンの死』に挑む
2022年01月26日 16時30分 [演劇]
撮影:石阪大輔

アーサー・ミラーの代表作『セールスマンの死』を、世界初演となった『FORTUNE』(20年)の衝撃も記憶に新しいショーン・ホームズが演出。4月に幕を開ける。そこで主人公のウィリー・ローマンを演じる段田安則と、ウィリーの息子ハッピー役の林遣都に話を訊いた。

競争社会へと突入していったアメリカで、セールスマンとして懸命に働き、妻と自慢の息子ふたりという幸せな家庭を得た平凡なひとりの男。だが…というのが、段田演じるウィリー・ローマン。そんなウィリーにとって“家族”とは、“仕事”とはどんな存在だったのか、段田に聞くと…。「自慢の家族だったと思います。ただ自分の息子はこんなもんじゃないと、現実を見ようとせず、理想の方に傾いていないと生きていけない。それは自らの仕事にも同じことが言えて。誇りを持って働いてはいたけど…みたいな。だからこそ最後、ああいうことになってしまったのだと思います」

かつては人気者だったが現在は定職にもついていない長男のビフと違い、女性にモテ、そこそこ器用に生きてきた次男のハッピー。そんなハッピーについて、「小さい時から父親がビフに寄せる期待や、ある種の甘さを一番間近に見てきたと思うんです。そこに対する劣等感は絶対にあっただろうな」と語るのは林。その一方、「父との関係はこじれていますが、その根底にはかつてのカッコいい姿、愛情を注いでくれていた姿が変わらずにあると思います。というのも僕自身、父の存在って特別で。どんなにカッコいい俳優さんに会っても、父には敵わない。そういう想いがこのふたりにもあるんじゃないかと感じます」と続ける。

また林自身も次男ということで、これまで一度も林の舞台を観ていない兄に対し、「初めてこの作品は兄に観てもらいたいと思いました」と告白。その話に段田も、「遣都くんはハッピーをやるべくしてやる人なんだね」と驚いた表情を見せていた。

ふたりは19年の『風博士』で共演済み。林が「いつかやってみたいと思っていた作品で、しかもウィリー役が段田さんなんて、こんな幸せなことはありません」と語ると、「本当?」と段田。続けて「作品自体のファン、遣都くんのファン、いろんな方が観に来てくださると思いますが、僕を見たいという方も3人くらいはいるかもしれません」とおどけて笑う。だが最後には、「これだけの名作をやるということで、ここは一発気合いを入れて、素晴らしい舞台にしたいと思います」と意気込んだ。

公演は4月4日より東京・PARCO劇場にて開幕。その後、松本、京都、豊橋、兵庫、北九州の各地を巡る。

取材・文:野上瑠美子

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