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NAPPOS PRODUCE 舞台『ナミヤ雑貨店の奇蹟』が、2月26日(土)に開幕。同日昼に行われたゲネプロの模様をレポートする。なお本記事はネタバレを含んでいるので、鑑賞前の読者は注意して欲しい。
東野圭吾の小説(角川書店)を演劇集団キャラメルボックスが2013年に舞台化し、2016年にプロデュース作品として再演された本作。今回も過去の上演版と同じく、成井豊が脚本・演出を手がける。児童養護施設で育った幼なじみの敦也・翔太・幸平は、泥棒を働いて廃屋へ逃げ込む。そこはかつて、店主が悩み相談を請け負うことで広く知られた雑貨店だった。廃業してしばらく経つにもかかわらず、店の郵便受けに手紙が届く。3人が開封してみると、相談主は33年前の人物だった。
人でなく“手紙”が時を超えるタイムトラベル・ファンタジーで、2017年に映画化もされた感動作であることはすでに知られている。観客の心を揺さぶるようウエットに、いわば“泣かせ”にかかることもできるはずだが、主人公・桐生敦也を演じる猪野広樹やその相棒・太田翔太に扮した松本幸大らキャストは、そういった類のあざとさに走らなかった。どこかクールな現代の若者といった印象で、内輪で揉めても決してヒートアップしない。育った施設が取り壊される危機に接しても刹那的で分別に欠ける行動を取り、罪悪感も希薄だ。家庭の温もりを知らないドライな彼らの人物像を、あくまでさらっと立ち上げる。だからこそ、ラストで見せる彼らの成長や心境の変化が際立つのだ。
対して、雑貨店の店主・浪矢雄治は何の見返りを求めることなく人々の悩み相談に乗り続けてきた人徳者。その彼が老人となって死を目前に控え、悩み相談の反応を知ろうと思い立ったことから敦也たちと縁が繋がり、時代を超えた奇蹟が起こる。演じる近江谷太朗は、浪矢の言動が美談になりすぎない絶妙なバランスで劇世界に貢献し、控え目ながらも確かな存在感を残した。
奇蹟を検証しようと、2016年の敦也らは白紙を投函する。受け取った1983年の浪矢も返信を出す。人生を終えようとしている老人と、これから広げることのできる若者が、悩み相談を通じて心を通わせる。浪矢の献身が報われ、敦也らに他者を想う気持ちが芽生えた瞬間、涙が頬に伝った。決して交わることのない2つの時代が同じステージ上に成立するのは、観客の想像力を信じる演劇ならでは。とっておきの奇蹟を目撃しに、劇場へ足を運んでみては。
上演時間は約130分(休憩なし)。公演は3月6日(日)まで、東京・サンシャイン劇場にて。チケットぴあでは、全席指定の当日引換券を販売中。
取材・文:岡山朋代
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