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鈴木聡が描く心温まる世界と人情ものに定評があるラサール石井の演出は、ともに笑いにも精通する相性抜群の脚本×演出コンビだ。エンターテインメント時代劇に仕立て上げた2020年の『阿呆浪士』に続き、今回、同じ94年初演の物語『三十郎大活劇』をリバイバルし、再タッグ。第二次世界大戦の寸前に迎えた日本映画界黄金期へのリスペクトを込めて描き上げる、激動の映画界を駆けまわる若者たちの切なくも熱い青春物語だ。
大部屋から一夜にして銀幕スターに駆け上がる主人公・紅三十郎を演じるのは劇団EXILEの青柳翔。ヒロインにはAKB48の元メンバー横山由依。昨年11月にグループを卒業し、個性豊かな実力派の共演者に囲まれながら初めての作品に挑む。大阪公演の開幕直前、来阪した横山由依にインタビュー、作品への思いや意気込みを聞いた。
横山由依はAKB48の時代から『美しく青く』(19年)などの舞台に出演、『熱海五郎一座』(21年)で共演したラサール石井とは今回、演出として再会した。役柄は温泉芸者のおやつ。時代に翻弄される主人公たちを見守り支える存在で、三十郎との淡い恋もある。「おやつは強さと優しさのある人。チャキチャキとした感じを残しつつ、華やかで明るい感じでと言われたので意識して演じています」。芸者の所作も指導を受け、東京公演を経て着物を着ることにも慣れた。「最初にみんなで歌って踊るシーンがあり、キャッチーな曲で振付もポップで明るい感じなので、注目していただければ。AKBでやってきたことが活かせてよかったと思います」。
自らを「負けず嫌いで気が強い」と言い、AKB時代から「舞台に立つ時は絶対に気を抜かず、気合いを入れて集中するよう心がけています」。その姿勢は卒業した今も変わらない。「コメディは観るのも演じるのも好き」と言う彼女は、今回の作品を「今の時代にすごくフィットしている作品だと思う」と語る。「コロナ禍で私たちの生活もやりたいことが自由にできない状況で、戦争も身近にあります。この作品は戦争が始まり、今まで作ってきた映画が自由に作れなくなる中で、それぞれの登場人物がどういう選択をしていくかが描かれていて、今の私たちにも置き換えられるかなと。1日1日の大切さなど、今観ていただきたい作品に仕上がっていると思います」。
できる限りの感染対策を続け、大阪公演で大千穐楽を迎える。「とても楽しみにしています。熱のこもった舞台をお届けできると思うので、笑ったり、ちょっと泣いたり、日常を忘れたい方はぜひ劇場へお越しください」。
公演は、4月23日(土)・24日(日)大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて。当日引換券発売中。
取材・文:高橋晴代
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