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還暦を迎えた昨年は、全国で“OZONE60”と題したプロジェクトを展開。今年は、2004年に結成された総勢15人のビッグ・バンド、No Name Horsesとの初のベスト・アルバム『THE BEST』をリリースし、全国ツアーを行なうなど精力的な活動を見せる小曽根真。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻などの社会状況のなか、改めて「音楽の力」を感じたという彼に話を聴いた。
今年4月、ワールドツアーの最後に訪れたハンガリー。ロシア侵攻による避難民も多いと知り、予定されていたコンサートとは別にフリーのコンサートを開いたそう。「最初は傷つき硬直していた人々の顔がコンサート後には少し和らいでいるのを見て、音楽という言語を与えられた者として役に立てる意義を感じた」と言う。コロナ禍での初の緊急事態宣言期間中、53日間の自宅から行ったライブ配信でも、音楽を通したコミュニケーションで多くの人に希望と元気を与え話題に。そんな小曽根が、東日本大震災の2年後、岩手県・宮城県で被災者を応援するチャリティ・ゲリラライブを一緒に行なったのが「No Name Horses」だ。
「ジャズのビッグ・バンドは集まったプレイヤーの個性が弾け合うことで、エネルギーが何十倍にも膨れ上がるもの。『No Name〜』は、僕が日本で初めてそんなワクワク感を感じたメンバーです。この間それぞれが自分の活動と並行しながら、アルバムをつくるごとに集まり、刺激を与え合いながら成長してきました」。
『THE BEST』は、それぞれが名プレイヤーで名作曲家であることを知ってもらえるよう、メンバーの個性がよく現れた名曲を厳選。自身が作曲した『ザ・パズル』に加え、彼が大きな影響を受けたという2人のミュージシャン、オスカー・ピーターソンの『ノリーンズ・ノクターン』と、昨年亡くなったチック・コリアの『ラ・フィエスタ』が小曽根のアレンジで新録音されている。「レコーディングを通して、『全然衰えないまま円熟している』と実感しました。曲順はシークエンスを大切に、物語をつくるように考えているので、短編集を読むように楽しんでほしいですね」。
そんな注目のアルバムを携えた全国ツアーも注目だ。「ドラムから始まる曲をピアノで始めたり、4拍子の曲を3拍子で演奏したり、ステージで僕はよくメンバーにいたずらをしかけるのですが、何をやっても見事に受けて立ってくれるのがこのバンドの凄さ(笑)。“その瞬間だけの生きている音楽”を、ビッグ・バンドでやれる無謀さがこのコンサートの醍醐味ではないかと思います。また、ミュージシャンのエネルギーと音楽の素晴らしさをきちんと伝えてくれる照明と音響も本当に見どころ。感動が何倍にもなる…そんな空間ですね。“ショー”として魅せる“コンサート”を楽しんで頂けると嬉しいです」。
公演は6月23日(木)福岡サンパレス ホテル&ホールにて。その他、東京、熊本、大分、山口、広島、愛知、三重で開催。チケットは発売中。
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