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日本・ギリシャ修好通商航海条約110周年記念特別展「写楽 幻の肉筆画 ギリシャに眠る日本美術 〜マノスコレクションより」の調査報告会を兼ねた記者発表会が23日、会場となる江戸東京博物館で行われた。
2008年7月にギリシャ・イオニア海に浮かぶ、コルフ島のギリシャ国立コルフ・アジア美術館に保存されていた浮世絵1600点、絵画(日本絵画のみ)200点、工芸600点にものぼる膨大な作品の調査が行われた。そこで、東洲斎写楽の肉筆扇画面(浮世絵に多い版画とは異なり、絵師が実際に筆で描いた1点もの)が発見された。そのほかにも、喜多川歌麿などの浮世絵版画や、狩野山楽や江戸城本丸にあったと言われる狩野探幽の屏風の模本など、大型日本美術コレクションが確認された。
本展は、ウィーンで大使を務めたギリシャ人のグレゴリオス・マノス氏が外務省を定年退職後、ジャポニズムに沸くパリに移住し、主に1910年から1920年にかけて購入した作品(マノスコレクション)を中心にアジア美術館所蔵の浮世絵画など約110件、屏風などの絵画作品約10件、あわせて約120件を展示する。今回の目玉は、いまだ素性が明らかになっていない“謎の絵師”写楽の肉筆扇面画「四代目松本幸四郎の加古川本蔵と夏もと米三郎の小浪」で、写楽の肉筆画が一般に公開されるのは、世界初の試みとなる。江戸東京博物館館長、竹内誠氏は「幻の写楽の肉筆画の展覧会を開催することは喜ばしいことで、私は今から興奮しております」と熱意をみせた。
記者会見のあとに調査報告として行われたパネルディスカッションでは、実際に学術調査に参加した調査団長の小林忠氏(学習院大学教授、千葉市美術館館長)をはじめ、浅野秀剛氏(大和文華館館長)、内藤正人氏(慶應義塾大学准教授)、河合正朝氏(慶應義塾大学名誉教授)が登壇した。写楽の肉筆扇面画に書かれている文字が絵柄と合ってないことについて、「この作品を入手した人が後から書いたものだと考えました」(浅野氏)、また、署名となる花押が、国内で発見され賛否両論をよんでいる「老人図」のものと似ていることから「書判が似ている。非常に興味深い」(内藤氏)など、調査された浮世絵画や日本絵画を解説した。ディスカッション最後には、小林氏より「今回ギリシャでまとまった日本の美術コレクションが発見され、上澄みのおいしい部分だけを東京に持ってくるという、新鮮で新しい感覚になれる。先方の好意で日本に里帰りできる」とギリシャへの感謝の気持ちと、展示会への期待を伝えた。
本展は7月4日(土)から9月6日(日)まで江戸東京博物館で行われる。遠いギリシャで長い間眠っていた秘宝の数々に、美術や歴史に興味のある人はもちろん、多くの人が奇跡を感じられるはずだ。
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