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金沢21世紀美術館で開催中の『トーマス・ルフ展』を俳優の大東駿介が訪れた。
トーマス・ルフは1958年生まれのドイツ人写真家。アンドレアス・グルスキーやトーマス・シュトゥルートと共にベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻に学んだ“ベッヒャー派” のひとりで、現代アートシーンをリードする存在として世界から注目を集めている。日本初の回顧展となる本展では、初期から最新作までの主要な18シリーズを展示している。
金沢を訪れたのが初めてだという大東は「いつか来ようと思っていたこの場所で観られるのはすごくラッキー」と語り、最初のシリーズが展示されたスペースに足を踏み入れると、「この人すごいな!」と感嘆の声をあげた。
大東がもっとも注目したのは、ルフの柔軟性。「人は生きているなかでいろんな思想の影響を少なからず受けるのに、この人はフラットで冷静。核でものを見ている」と洞察。友人たちに指示を出し画一的な表情を捉えた<Portraits(ポートレート)>シリーズでは、普段撮影される側として、自らの役者観を重ねる一幕も。
鑑賞中、何度も口にしたのは“ゼロ地点”という言葉。さまざまなモチーフの画像を圧縮してブロックノイズを発生させ、長辺3m近くもの巨大プリントでそれらを突出させた<jpeg>シリーズでは、「世界ってこんな見方があんのや!」と驚きの声を出していた。
「こうやって見ると、美しい写真も悲惨な写真もフラットだし、ネットの情報だって全部2次元で虚像みたいなもの。トーマス・ルフの作品は、ゼロ地点に立ち返らせるというか、立ち返ること自体を作品を通して言っている気がする。でも、自分が立ち返った地点が合っているか間違っているかを決めるのは自分しかないし、(ルフから受け取ったメッセージで)俳優の仕事に活かせることとしては、自分ができる範囲のことに自信を持つしかないってこと。『今の自分にはできない』『自分と比べてあの人はこんなにすごい』とか関係ない。重要なのは自分のゼロ地点に戻ることだけなんだなって」。
自らの体、そして思考にフィードバックしながら、「平等、冷静、中立ってことを教えられた」と語り、“今を生きる”意識を改めて認識したようだった。
『トーマス・ルフ展』は金沢21世紀美術館で3月12日(日)まで開催。フラットな視点で表現された18シリーズの作品群で、現代を生きるヒントを探してみては?
取材:武田吏都 文:高本亜紀
■『トーマス・ルフ展』
日程:開催中〜3月12日(日)
会場:金沢21世紀美術館(石川県)
料金:一般=1000円/大学生=800円/小中高生=400円/65歳以上の方=800円
会館時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
休場日:月曜日
お問い合わせ:金沢21世紀美術館 tel076-220-2800
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