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2014年に開催され、全国で約38万人の動員を記録した『大浮世絵展』。その第2弾となる展覧会、『大浮世絵展―歌麿、写楽、北斎、広重、国芳 夢の競演』が、2020年1月19日(日)まで、東京都江戸東京博物館で開催されている。今回は特に人気の高い5人の作品にフォーカス。国内外から選りすぐりの名品が紹介される(会期中に展示作品の入れ替えあり)。
その冒頭を飾るのが、美人画の名手として知られる喜多川歌麿。中でも「婦人相学十躰」や「歌撰恋之部」など、上半身をアップで描く“大首絵”の手法を取り入れた作品群は秀逸だ。また「青楼十二時 続」では、吉原の遊女の1日が12図に描き分けられており、髪型や小物、着物の着くずし方など、遊里の風俗が的確に表現されている。
第2章は、衝撃的なデビューからたった10か月で消えてしまった謎多き絵師、東洲斎写楽。それまでの役者絵とは異なり、役者があまり描いて欲しくない特徴を如実に(もしくは誇張して)描くことで、その人物の“真”を描き出そうとした。残存数は非常に少ないが、本展ではデビュー作の役者絵28枚のうち27枚を展示。また「市川蝦蔵の竹村定之進」などは、刷りの異なる同じ作品が同時期に並ぶ。
第3章は近年大規模な展覧会が開かれるほか、その人物像にも注目が集まっている葛飾北斎(葛のつつみがまえの中は「人」)。強烈で、オリジナリティあふれる作品は、ゴッホなど後の作家に多大な影響を与えた。特筆すべきはやはり、各地から見える富士の姿を描いた「冨嶽三十六景」より、世界で最も有名な絵画とも言われる「神奈川沖浪裏」。作品の主役である波の表現は、北斎が長年こだわり続けてきたもので、本作はその集大成とも言える。
第4章は北斎と同じく、風景画の名作を数多く遺した歌川広重。その代表作「東海道五拾三次」の中の傑作「蒲原 夜之雪」は、前期(〜12月15日(日))と後期(12月17日(火)〜)で所蔵先の異なる作品が展示され、刷りによる背景の違いなどを楽しむことが出来る。また「名所江戸百景」には、「大はしあたけの夕立」や「水道橋駿河台」など、斬新な構図や色合いに改めて驚かされる。
最後の第5章には、近年若い世代にもファンが多い歌川国芳。大胆かつ緻密な武者絵が魅力だが、これだけ国芳が支持されるのは、その遊び心にあるだろう。3枚続のワイドな画面を生み出したのも国芳で、画面いっぱいに描かれた鯨が観る者に迫る「宮本武蔵の鯨退治」はまさに圧巻。また猫好きの国芳らしい、ユニークでかわいらしい作品も並ぶ。
取材・文:野上瑠美子
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