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本日1月26日(土)から待望の来日公演が開幕となる「マリインスキー・オペラ」。その開幕前日にあたる1月25日(金)に行われた『ホヴァーンシチナ』直前リハーサルに直撃取材を試みた。
ムソルグスキー作曲『ホヴァーンシチナ』は、ピョートル大帝による改革前夜、激動の時代を往く18世紀のロシアを描いた大河オペラだ。旧体制を維持しようとするホヴァンスキー親子とゴリーツィン公。古くからの宗教慣習を重んじる分離派教徒のドシフェイとマルファ。そしてピョートル大帝の改革を影で推進する大貴族シャクロヴィートゥイ。それぞれの思惑が複雑に絡みあい、改革の時代の物語をドラマティックに描き出す名作。音楽的に歌手・合唱の見せ場が非常に多いのもポイントだろう。
1月25日(金)に行われた最終リハーサルでは歌手陣の状態を入念にチェック。まず圧巻だったのが「シャクロヴィートゥイ役」のヴィクトル・チェルノモルツェフ。その巨漢から生み出される圧倒的な声量、深みや哀愁、温かさを含んだ歌声は、時代に翻弄される祖国を憂うシャクロヴィートゥイのまさにハマリ役だ。ドラマ本編の転機においても重要なキーパーソンとなる役柄だけに、チェルノモエツェフの演技からドラマの本質が見えてくるかもしれない。
それから、銃兵隊を率いてクーデターを起こすも、最後には改革派に暗殺される「イワン・ホヴァンスキー公」を演じたアレクセイ・タノヴィツキーの美声もキラリと光った。権力を手に入れ、意気揚々と兵士を率いる場面ではホヴァンスキーの力強い自信を、また政敵に追い込まれる場面での迷いなど、心情のこもった豊かな表現力は絶品。
マリインスキー劇場は専属歌手の質の高さが有名だが、日本での知名度は低くても「こんなに歌えるのか!?」という歌手がゴロゴロいるのを改めて実感。特に開幕公演の演目である『ホヴァーンシチナ』は、ロシア・オペラの中でも屈指の正等派作品で、マリインスキー劇場にとっても自信の一作。それだけに各キャストを担える歌手が何人も常時スタンバイし、本番への競争率は世界屈指なのだ。また公演時に最もコンディションの良い歌手を抜擢するという贅沢さが証明する通り、マリインスキー劇場のオペラ公演で歌手のハズレを見かけないのはその為かもしれない。
いよいよ開幕を迎えるマリインスキー・オペラ来日公演は『ホヴァーンシチナ』以外にも、『3つのオレンジへの恋』『ランスへの旅』『イーゴリ公』と歌手陣の力量が思う存分発揮される作品ばかり。ゲルギエフの指揮には当然注目だが、世界屈指の競争率の中、切磋琢磨する歌手たちの熱演にも注目したい。
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