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2008年の日本クラシック界最初の節目「マリインスキー・オペラ」が1月26日に東京文化会館で開幕。会場には華道家・假屋崎省吾や写真家・加納典明ら各界著名人の姿も見受けられ、注目度の高さを窺わせた。
初日の上演作品である正統派ロシア・オペラ『ホヴァーンシチナ』は、美麗なメロディで有名な前奏曲「モスクワ川の夜明け」で幕開け。まず印象に残ったのが合唱の美しさだ。第1幕「おお、母なる我が祖国ルーシよ」をはじめ数々の合唱シーンで披露した一糸乱れぬアンサンブルは、ソリスト以外の歌手たち(=劇場のベース)が極めて優秀なことの証だ。
しかし、それにも増して圧倒的だったのはソリスト陣の歌唱力。終始安定した歌唱を発揮した分離派教徒マルファ役のオリガ・サヴォーワ、道化師的キャラでシリアスなストーリーに絶妙のアクセントをつけた代書屋役のワシーリー・ゴルシコーフほか、粒ぞろいという言葉ですら物足りない実力者揃い。世界を見渡してもこれほど歌える専属歌手を揃えているのはマリインスキーぐらいではないだろうか。
また世界屈指のカリスマ指揮者ワレリー・ゲルギエフによる緩急自在のコントロールのもと、舞台を支えたオーケストラの出来も流石のひと言。特に圧巻だったのはエンディングで分離派教徒集団が自決をするシーン。「悲劇」という語をそのまま表現したかのような音楽で、会場全体が息を呑むほどの緊迫感にジリジリと包まれていくのを体感。その反動か、幕を閉じるのを待ちきれずに溢れだした拍手と大歓声が観客の熱狂度を如実に語っていたと言えるだろう。
マリインスキー・オペラ来日公演は2月3日(日)まで開催。初日、2日目の『ホヴァーンシチナ』以降は、『3つのオレンジへの恋』『ランスへの旅』『イーゴリ公』の3作品を順次上演する。9日間でオペラ4作品の上演は通常では考えられないハードスケジュールだが、初日の歌手・オーケストラの完成度を考えると残りの公演への期待度も飛躍的に高まるところだ。
マリインスキー・オペラ日本公演応援大使・假屋崎省吾『ホヴァーンシチナ』を絶賛!
ゲルギエフの大ファンであり、彼のCDを聴きながら華を活けることも多いという假屋崎省吾。本公演を記念し、ゲルギエフをイメージして活けた作品を前に『ホヴァーンシチナ』の感想を述べてくれた。
「まさに迫力の舞台。瞬時に感動の渦に巻き込まれました。『ホヴァーンシチナ』は滅多に観られない演目でやや渋い作品かもしれませんが、美しい舞台や衣装、歌手の見せ場も多いだけに感動も特別。美しい芸術は私たちの心をとても豊かにしてくれます。ゲルギエフさん率いるマリインスキー劇場のオペラであれば尚更。私も今年で華道家歴25周年を迎えますが、未だにオペラでもらった感動から様々なインスピレーションが沸き起こりますし。残りの3作品もとても楽しみ。観ていない方には、まだ間に合うので貴重な機会を逃さないで欲しいですね」
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