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藤原紀香主演ミュージカル『ドロウジー・シャペロン』や音楽劇『三文オペラ』など、2009年も超多忙な演出家、宮本亜門が手がけるオペラ『ラ・トラヴィアータ』。2月12日(木)に開幕を控え、佳境を迎えた舞台稽古を直撃、宮本亜門に見所を聞いた。
『ラ・トラヴィアータ』はイタリアの作曲家、ヴェルディの代表作で、世界で最も多く上演されるオペラのひとつ。19世紀のパリを舞台に、華やかな社交界で刹那的に生きる高級娼婦ヴィオレッタが、純真な青年アルフレードに心打たれて真の愛に生きようとするも、不条理な運命ゆえに悲劇の結末を辿る物語で、日本では『椿姫』の名で知られる。
今回あえて『椿姫』ではなく、原題『ラ・トラヴィアータ』(「道を踏み外した女」の意)で上演するという宮本亜門。「コンセプトは人間の内面が持つ生々しさ。華やかな社交界という従来の『椿姫』とはかけ離れた、色々な意味で予想を裏切る舞台になります」と意気込みを語る。
具体的な演出については「舞台装置や衣装は現代風ですが、特定の時代設定はしていないです。重要なのは、現代の皆さんが観て、ヴィオレッタという主人公に共鳴できるかどうか。例えば、第1幕の社交界の場面はヴィオレッタの思い出のフラッシュバックです。登場人物も記憶の中のイメージとして、彼女に近しい人は特徴的に、そうではない人は特徴が無い風にと、視覚的にも主人公の内面を描いています」と語った。
近年のオペラは多様な演出法が登場し、欧米においても露出度の高い衣装や過剰な演技だけで表面的な話題を呼ぶことも多いが、この『ラ・トラヴィアータ』はそれらと一線を画すもののようだ。
また、「ヴィオレッタをマリリン・モンローのように描いてセクシーさを過剰に強調する演出もありますが、今回は特定の誰かを喚起させるのではなく人間の内面やそこから生まれる物語をいかに描くかがポイントです。オペラはもちろん音楽ですが、ヴェルディやモーツァルトたちが作曲に至ったきっかけは、原作や脚本という“物語”にインスピレーションを受けたからではないでしょうか。その根っこの部分がテーマとして重要なのです」と、宮本亜門は話す。これまで演出したオペラも作品に潜む物語や登場人物の心情を深く描いてきた彼だからこそ説得力を持つ言葉といえる。
「今回は皆さんがイメージする『椿姫』とは全く違う舞台になります。ぜひ衝撃に立ち会ってください。それから、これは現代人のための作品。いま皆さんが生活する中でも色々な思いを感じとってもらえるはず。ぜひ劇場に足を運んでください」
現代を生きる我々に深く問いかける、宮本亜門演出のオペラ『ラ・トラヴィアータ』は、2月12日(木)〜15日(日)に東京文化会館 大ホールで開催される。
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