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“オペラ女優”デセイ演じる、かつてないほど感動的な『椿姫』。トリノ王立歌劇場の来日公演が開幕
2010年07月26日 15時22分 [オペラ・声楽]
トリノ王立歌劇場『椿姫』
トリノ王立歌劇場・日本公演『椿姫』(7月23日:東京文化会館) (c)三浦興一

イタリアの名門オペラハウス、トリノ王立歌劇場の来日公演が7月23日に開幕。ナタリー・デセイほかスター歌手が出演した『椿姫』で満場の観客から喝采を集めた。

『椿姫』は、イタリアの大作曲家ヴェルディの代表作で、世界で最も上演機会の多いオペラのひとつ。アレクサンドル・デュマ・フィスの小説が原作で、19世紀のパリを舞台に、華やかな社交界で刹那的に生きる高級娼婦ヴィオレッタが、世間知らずの青年アルフレードの純愛に心打たれて真の愛に生きようとするも、不条理な運命ゆえに悲劇の結末を辿るという物語だ。

主役ヴィオレッタは、ソプラノ歌手のレパートリーの中でも技術・表現力とも最高難易度を要求するが、今回演じたナタリー・デセイは、従来のヴィオレッタ像を軽く超越してしまう演技を披露。社交界で華やかに生きるも、自堕落な生活の代償として病に蝕まれる身体。恋人アルフレードとの短い幸せの日々。その父ジェルモンに身分違いの関係を絶つように強要され、諦めて別れを受け入れる決断。別れの真の理由を知らないアルフレードに公衆の面前で罵倒される悲劇。そして重度の結核により迎えた最期、アルフレードとジェルモンの幻(ヴィオレッタにはふたりが死の床に駆けつけたように見える)に看取られて果てる…。悲劇に達観してみせたかと思いきや、生きて幸せを掴むことを激しく渇望する。演出テーマ“ヴィオレッタの孤独”に忠実に、運命の中で葛藤し続けるひとりの女性を演じたナタリー・デセイは、単なるオペラ歌手ではなく“オペラ女優”と賞すべきだ。

また音楽監督ジャナンドレア・ノセダ指揮のもと、トリノ王立歌劇場のオーケストラと合唱団も登場人物たちの精緻な心象描写に隅々まで神経を行き届かせた演奏を披露。最高級のシルクのように、歌手の声に寄り添い、溶け合う演奏は、オペラの真髄を知るからこそ出来る芸当。公演前にノセダ自身が「かつてトリノ王立歌劇場の音楽監督を務めたトスカニーニ(20世紀を代表する指揮者)は、音楽はもちろん、台本に書かれた詞・言葉に徹底的にこだわる人でした。その姿勢は私も大事にしています。オペラが言葉と音がどれほど密接に関わっているかが分かると、音楽そのものも驚くほど活き活きとするのです」と語ったが、まさに本公演の音楽は生きた物語そのものだったといえるだろう。

トリノ王立歌劇場『椿姫』公演は、7月26日(月)・29日(木)・8月1日(日)にも東京文化会館で開催。また来日公演のもうひとつの演目で、バルバラ・フリットリ、マルセロ・アルバレスほかスター歌手が揃う『ラ・ボエーム』公演は、7月28日(水)・31日(土)に同会場で開催。チケットは発売中。

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