タレント ニュース
クラシック

新国立劇場オペラ部門・尾高忠明芸術監督のシーズン1年目最後の新演出作品、モーツァルト作曲「コジ・ファン・トゥッテ」のゲネプロが5月26日に行われた。
「フィガロの結婚」「ドン・ジョンヴァンニ」を手がけたモーツァルト(作曲)とダ・ポンテ(台本)の黄金コンビが制作したオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」は、二人の男性が恋人の貞節を試すため、互いの相手を口説いたら、恋人二人とも心変わりしてしまうという恋愛喜劇だ。いわゆる恋人交換ゲームがテーマなため、1790年の初演以来、長らく不道徳とされてきたが、20世紀以降に再評価。男女の感情の機微を細やかに描いた作品として、モーツァルトのオペラのなかでも最高峰のひとつに数えられている。
この18世紀に書かれた恋愛心理劇を、フレッシュな現代ドラマとして再生するために、演出を手がけるのはダミアーノ・ミキエレット。ミラノとヴェネツィアで演出と現代文学を学び、2008年のロッシーニ・オペラ・フェスティバル「泥棒かささぎ」の演出で一躍注目を集めた、イタリアの話題の演出家だ。
今回の新制作では、登場人物に存在感や現実味を与えるために、舞台設定を原作の18世紀末から現代のキャンプ場でのバカンスに置き換え。主役の男性二人、フェルランドとグリエルモが、バイク乗り風の男に変装し、互いの恋人たちを誘惑していくという、どこにでもある男女の夏の一コマとして描く。
「舞台は若者たちのキャンプでのバカンス。そこでは周りに様々な誘惑がありますす。また自然があふれるキャンプ場では、人間の本能が自然の中でさらけ出されるという効果があり、これこそが『コジ・ファン・トゥッテ』のテーマ。劇中でドン・アルフォンソが語るセリフに『人々は社会的な枠組みを離れると、自らの本能に立ち返る』というものがありますが、キャンプ場の自然の中でそれが露わになるのです」と語るダミアーノ・ミキエレットの演出は、200年の時を越え、モーツァルトのオペラを現代に生きる私たちにも説得力のある恋愛心理劇として示すだろう。
新国立劇場オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」は、5月29日(日)から6月11日(土)まで全5公演が開催される。チケットは発売中。
関連リンク(外部リンク)
クラシックのニュース もっと見る
-
クラシック
2022年07月14日 13時00分 更新弦楽四重奏の未来へ!クロノスQ、19年ぶり来日 -
クラシック
2022年07月08日 15時30分 更新ウィントンの協奏曲を再演。石田泰尚に熱狂する夜 -
クラシック
2022年07月04日 12時00分 更新無垢な「愚者」をどう演じる?二期会パルジファル -
クラシック
2022年07月01日 13時00分 更新現実と幻想が同居する不思議!新国ペレアスの衝撃 -
クラシック
2022年06月16日 11時30分 更新歌う喜びいつも!ショパンコン3位のスペイン新星