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3年ぶりに来日した“イタリア・オペラ界の至宝”トリノ王立歌劇場が、プッチーニ作曲のオペラ『トスカ』のゲネプロを11月26日に東京文化会館で行った。
『トスカ』は、「歌に生き、恋に生き」、「星は光りぬ」などの名アリアに彩られた、イタリア・オペラの傑作。26日のゲネプロでは、トスカ役にはダブルキャストのひとり、パトリシア・ラセットが登場した。先日もメトロポリタン歌劇場で同役を歌ってきたばかりだけあって、完成度の高い歌唱と演技を披露。ラセット自身「(トスカは)大胆さ、繊細さ、力強さ、ユーモアが交互に現れる」と語るように、非常に複雑な心情描写が求められる役柄だが、時には愛に純真に、特に運命を切り開く力強さを、時に敬虔な祈りを捧げるように、表情豊かにトスカを演じてみせる。まさに卓越した演技力を誇る“オペラ女優”の面目躍如だ。ラセット演じるトスカの情熱に導かれるように、カヴァラドッシ役のマルセロ・アルバレス、スカルピア役のラド・アタネリも次第に熱を帯びた歌唱で応え、思わず関係者からも拍手が飛び出すなど、本番さながらのゲネプロとなった。
歌手陣の熱演を支えるのは、非常に正統派で美しいスタイルを追及した演出だ。舞台装置・衣装、演技のいずれも奇をてらって点は微塵もなく、ディティールまで手の行き届いた舞台は、作品のドラマティックな要素をより色濃く際立たせる。ゲネプロ翌日の記者会見に登壇した演出のジャン=ルイ・グリンダは、「演出をひと言で表現するなら“天使の急降下”です。トスカは24時間の中で起こった物語。非常にスピーディに展開していくので、ある種、映画的な作品といえると思います」と演出プランのヒントを明かす。舞台のオープニングとラストには映像を使った非常にユニークな演出も。ラストを迎えた瞬間に、グリンダの語る演出プランの意味が鮮烈なインパクトとともに観客に伝わるはずだ。
大絶賛を博した前回の来日公演で、すでにそのクオリティの高さを実証済みのオーケストラと合唱団。この日も音楽監督ノセダのリハーサルはいつも通りの緻密さだ。すでに完成されたアンサンブルの上に、演出・歌手のパフォーマンスとのバランスに配慮しながら、微妙なニュアンスを何度も繰り返して確認していく徹底ぶり。イタリア・オペラの真髄を知り尽くした彼らの音楽は、今回も日本のファンの期待を裏切ることはないだろう。
トリノ王立歌劇場『トスカ』本公演は、11月29日(金)より開幕する。
■トリノ王立歌劇場 2013年 日本公演
◇プッチーニ:『トスカ』
11月29日(金)・12月2日(月)・5日(木)・8日(日) 東京文化会館
◇ヴェルディ:『仮面舞踏会』
12月1日(日)・4日(水)・7日(土) 東京文化会館
◇特別コンサート ヴェルディ:レクイエム
11月30日(土) サントリーホール
◇特別演奏会 ローシーニ:スターバート・マーテルほか
12月6日(金) 東京文化会館
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