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2015年はピアニスト反田恭平の飛躍の年だった。「チッタ・ディ・カントゥ国際ピアノ協奏曲コンクール」古典派部門優勝、デビューアルバム『Liszt』リリース、国内オーケストラふたつへの客演、さらに、12月にはロシアのマリインスキー劇場でデビュー予定。その彼が2016年1月、クラシック音楽の殿堂サントリーホールでデビューリサイタルを行なう。
反田はリサイタルの時期を「新年という節目であり、僕にとっては1年前にデビューアルバムを録音した月。自分がこの1年でどう成長したかを問うものとして選びました」と語る。
現在、ロシアに留学中の21歳。「ロシアは様々な意味で深く大きな国。危険もありますが、一度壁を越えると皆すごく優しくて。先生(ミハイル・ヴォスクレセンスキー)も家族のように扱ってくれています。門下の発表会には世界の三大コンクールの入賞者をはじめ国際的に活躍している人が集まるのですが、みんな、ライバルだけど仲間思い。良いところを言い合います。僕の演奏の熱さ、エモーションの激しさを気に入ってくれたり、あと、髪を結んで弾くので『サムライ』と呼ばれたりしますね(笑)」
ロシア人も認める反田の熱さは、どこから来ているのか。「日常において心が揺れる物事すべてが原動力です。と同時に、僕にはもう一人の自分がいて、熱くなり過ぎても、その子に声をかけると冷静な答えが返ってくるんです。演奏中は常に『今こう弾いたから次は』とか『未来にこう弾くためには今どう弾かなきゃいけないか』などと“過去・現在・未来”を考えながら弾くのですが、弾きながら思いがけないインスピレーションが湧くこともよくあります」
過去・現在・未来の話は、反田が弾くピアノ、ニューヨーク・スタインウェイのヴィンテージモデル《CD75》にも通じるだろう。伝説のピアニスト、ウラディミール・ホロヴィッツも弾いた楽器だ。「このピアノは100年前のものながら未だに現役で、音もよく響き、底力が計り知れない。大量生産で均一的に作られている今のピアノと違い、88鍵一つ一つに個性があり魂が入っているんです。低音はボーンと鳴るし、高音はキラキラして、中声部はチェロのような音で、まるで88人のオーケストラ。僕は、熱さだけでなく冷静さももって指揮者となり、彼らをまとめなければなりません。大変ですが面白い作業です」
リサイタルでは、彼が「もっとも親しみ、体にフィットする作曲家」とするリストのほか、留学の成果が見られそうなロシアものなどを予定。「デビューリサイタルは特に思い出に残るものだけに、なかなか曲がすべて決められなくて。でも、間もなく発表できると思います」
夢は、息長く活動し、クラシック音楽を知らない世界中の人達に広めること。「クラシック音楽にはそれだけの魅力がありますから。デビューリサイタルはその一歩です」
デビューリサイタルは1月23日(土)東京・サントリーホール 大ホールにて。
取材・文:高橋彩子
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