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山田和樹指揮、宮城聰演出というタッグも話題のNISSAY OPERA『ルサルカ』。11月の公演を前に、関連企画「オペラ・オードブル・コンサートvol.5 月に寄せる歌」が、日生劇場のピロティにて開催され、『ルサルカ』に出演する田崎尚美、新海康仁、清水那由太、秋本悠希が、ピアニスト湯浅加奈子の伴奏で、オペラの名曲を披露した。
1曲目は、ルサルカが第1幕で歌う「月に寄せる歌」。森に住む水の精ルサルカが人間の王子への恋を歌う有名なアリアだ。本番でも同役を演じる田崎が、ルサルカの思慕と憧憬をしっとりと歌い上げた。2曲目は、人間の姿で現れたルサルカに魅せられた王子が歌う「私には分かっている」。本番には狩人役で出演する新海が、運命の恋を確信した王子の歌を情熱的に歌った。
晴れて王子と婚約するルサルカだが、彼女は人間の体を得る代わりに声が出せなくなっている。第2幕、口のきけないルサルカの前で、外国の公女が王子を連れて行ってしまう。その様子を見た水の精ヴォドニクが歌うのが、この日の3曲目、「哀れ、蒼白のルサルカ」だ。本番でもヴォドニクに扮する清水が、ルサルカへの哀れみと人間の世界への怒りを表した。続く4曲目は、外国の公女と王子の「あなたの瞳には」。本番でも公女を歌う秋本が深海と共に、新たに燃え上がる恋の二重唱を情熱的に歌った。この王子の裏切りを受けて水の底に引きずり込まれたルサルカが3幕で歌うアリアが、5曲目の「生から切り離され」。田崎がその歌にルサルカの深い嘆きを込めた。
さらに、同じドヴォルザーク作曲の「わが母の教え給いし歌」も歌われ、その美しい旋律に来場者一同は聴き惚れたのだった。
この日、進行も務めるなど大活躍だった田崎は、今回がルサルカ初挑戦。「私は声種的に、重い声の役が多く、ルサルカのような、人間ではない美しい声の役は、あまり経験してきませんでした。ただ、ドヴォルザークというと民族的な旋律が特長的で、そのオーケストラにはワーグナーに近い重厚さもある。実際にルサルカを歌ってみて、ある程度の重みがあってもいいのかな、と感じています。妖精らしさはハープなどの楽器や森の精、合唱などに表れており、人間に憧れるルサルカの歌にはむしろ泥臭いところもある気がするので、私の場合はそこから作っていけたらと思っています」。
ドヴォルザークの歌について回るチェコ語の難しさについては「補助記号が、特にルサルカのアリアには多いんです。日本人がやらない発音なので、11月までにどこまできちんとできるかが課題ですね」と意気込む。
宮城演出の稽古はまだこれから。「2幕でのルサルカは声を出さないので、表情や動きで表現することになります。どのような演出をつけてくださるのか楽しみですね。ルサルカは、相手のために自分を犠牲にする。現実にはなかなかできない行為ですが、その無償の愛がお客様に伝わるよう、リアルに演じたいです」。
オペラ『ルサルカ』は11月9日(木)より東京・日生劇場にて。
取材・文:高橋彩子
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