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奇をてらわない──誠実な本格派・外山啓介の挑戦
2017年09月08日 10時00分 [器楽・室内楽]
外山啓介
外山啓介

日本音楽コンクール優勝(2004年)の栄冠とデビューCD『CHOPIN:HEROIC』を引っ提げて2007年に華々しくプロ活動を開始。今年デビュー10周年を迎えているピアニストの外山啓介。現在、全国約20か所のリサイタル・ツアー真っ最中だ。9月30日(土)にはサントリーホールで東京公演がある。節目のプログラムに彼が選んだのはオール・ショパン。実は10年前のデビュー・ツアーとほぼ同じ曲目構成になっている。

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「10年前と何が変わったのか、何が変わっていないのか、あえて確かめてみたかった。自分への大きな挑戦です。ただ、『変えなければならない』という意識はありません。10年前の自分を頼らず、どう感じるのか、何を伝えたいのか。足りないものは何か、足りているものは何か。客観的に判断して弾きたいと思っています」プログラムの中心となるのはピアノ・ソナタ第3番。大学時代に恩師の植田克己から聞いた「3番に合わせるなら舟歌」というアイディアを実践する。
「当時、たしかにその通り!と思ったのをやってみたくて(笑)。ショパンはこのソナタで、すごく死を意識していると思います。だからとても厳しい。非常に清潔で、人を寄せ付けない品格があリます。今回改めて向き合ってみて、その品格を表現するために、少しテンポを落としました。また最近特に、《舟歌》にどうにもならない深い悲しみを感じていて。その意味では重たいプログラムになりました」

「聴きやすいポピュラーな作曲家」と受け取られがちなショパンだが、決してそうではない。「すごく冷静にコントロールして弾かないと、自分の感じた良さを伝えにくい作曲家です。キラキラと美しいかけらがあちこちにあるので、それを全部拾ってしまうと、ただの自己満足になってしまう。だから常に客観的でいることが大事。もちろんどの作曲家もそうですが、特にショパンの場合は、美しさについ溺れてしまって、そこを見失いがちだと思います」

10年間変わっていない信念は「奇をてらわないこと」。「奇をてらうのは好きじゃないんです。シンプルに弾きたい。必要以上にドロドロ歌わせたくないし、絶対に力技にしてはいけない。まっすぐ勝負したいというのは変わっていないかな」

女性に大人気のイケメン・ピアニストというイメージが強いので、男性陣はつい色眼鏡で見てしまうかもしれないが、実に誠実に語ってくれる気持ちのいい好青年。そして高い技術に裏打ちされたスケールの大きい端正な音楽性。その名前が今後さらに大きくなっていくのは間違いない。その新しい10年の始まりを、新しくなったサントリーホールで!

取材・文:宮本明

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