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沼尻竜典指揮、佐藤美晴演出で18年6月に上演されるNISSAY OPERA『魔笛』。日生劇場開場55周年を記念し、オペラ4演目を全てモーツァルト作品でそろえる「モーツァルト・シリーズ」の一環として上演される注目作だ。公演に先駆けて、関連企画「オペラ・オードブル・コンサートvol.6 『魔笛』」が、日生劇場のピロティにて開催された。
この日のピアノ伴奏と進行を担ったのは、本番でタクトを振る指揮者・沼尻竜典。『魔笛』序曲はその沼尻に加え、指揮者・園田隆一郎も登場し、ふたりのマエストロが連弾するという豪華さ。なんでも園田が「今日聴きに行きます」と沼尻に話したところ、沼尻から出演を依頼されたのだという。華やかな幕開きに続いて、出演歌手たちによる『魔笛』の歌唱へ。
まず最初は、パパゲーノのアリア「私は鳥刺し」。パパゲーノ役の青山貴がパンフルートを持って登場。客席エリアにも入るなど、所狭しと動き回って陽気に歌う。通常の劇場では考えられない至近距離で、歌やパフォーマンスを楽しむことができるのも、このコンサートの特長だ。普段と違う作品の味わい方により、作品への興味や理解も一層深まっていく。
続いて、王子タミーノのアリア「なんと美しい絵姿」。のちに結ばれる姫パミーナの絵姿に思いを寄せる歌だ。未だ見ぬ女性への恋心を表す調べはロマンティック。さらに、二重唱「愛を感じる男の人たちには」。パミーナ役の砂川涼子ととパパゲーノ役の青山の二重唱だ。砂川の清らかな歌声と青山の伸びやかな歌声がどこまでも広がる。
沼尻マエストロは気さくに楽しく、時にはカリスマ実演販売士のように(?)セット券情報なども織り交ぜながら、軽妙に進行。高音が散りばめられた夜の女王のアリア「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」では、中江早希が迫力満点の歌唱を披露。また、沈黙の修行中のタミーノが口を聞いてくれずパミーナが悲嘆に暮れるアリア「ああ私にはわかる、消え失せてしまったことが」を砂川がしっとりと歌い上げ、沼尻がユーモアたっぷりに「これを歌えば少子化問題も解決でございます」と紹介したコミカルな二重唱「パパパの歌」では、パパゲーナの今野沙知恵とパパゲーノの青山が、ロビーはもとより階段まで使って活き活きと歌った。
改めて、『魔笛』が個性豊かな歌・キャラクターでいっぱいであることを実感するひとときに。全員でのフィナーレに続いてクリスマスソングメドレーも披露され、コンサートは大盛況のうちに幕を閉じた。
オペラ「魔笛」は6月16日(土)・17日(日)東京・日生劇場にて上演。チケットの一般発売は2月13日(火)午前10時より。
取材・文:高橋彩子
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