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仲道郁代が昨年から10年計画で進行中の壮大なプロジェクト「Road to 2027 ベートーヴェンと極めるピアノ道」。その第2回が5月26日(日)に東京・サントリーホールで開催される。
「ベートーヴェンが音楽で問うたものを、これから10年間の自分の進む道として、私自身にも問い直していきたい」。これまで幾度かベートーヴェンのソナタ全曲演奏に取り組んできた彼女。今回は各回ごとにテーマを定め、ベートーヴェンのソナタを軸に、他の作曲家との関連の中で、ベートーヴェンの音楽、そこに描かれた哲学を見つめ直す。「Road to 2027」を冠としたプロジェクトは、並行して毎秋に開く、ピアニズムを極めることを目的とするリサイタル・シリーズとの2本を柱としている。「2027年」はベートーヴェン没後200年であり、仲道の活動40周年でもある。
5月はピアノ・ソナタ第8番《悲愴》を軸に、ブラームスの8つの小品Op.76とシューベルトのソナタ第19番を弾く。テーマは「悲哀の力」。「悲哀」だけなく、「力」と入れたのには理由がある。「悲哀は、作曲家から生み出される時、ただ“悲しい”では終わらないんです。彼らの作品が、私たちにとっては次なる生きる力になる。強い意志や、シューベルトのように悲哀の先にある透明な美しさを感じさせてくれる。それらを受け入れることで、悲哀が力に変わるのです」
ベートーヴェンは彼女のライフワーク。きっかけは2002〜2006年、彩の国芸術劇場で行なったソナタ全曲リサイタルだった。作曲家の故・諸井誠とのレクチャー・コンサートという形式の中で、彼女自身、諸井から計り知れないほど多くのことを学んだ。「音符を読むということの本当の意味、それをどう生きた音にしていくのかを教えていただきました。あの経験がなかったら、今頃、私というピアニストがいたかどうか」
「ピアノ道を極める」といっても、ストイックな修行ではない。「ストイックというと、ピアノを弾くこと以外を振り払うようなイメージ。私の人生はそれと逆で、諸井先生に学び、ピリオド楽器に興味を持ち、演劇の表現芸術からも刺激を受けてきた。自分の音につながると思うあらゆることを好奇心旺盛に吸収してきました。それらの蓄積の上で、音楽家としてこれからはどうありたいのか。それを見据えながら演奏活動をしていきたいというのが、この10年です」
7月14日(日)には、やはり昨年から始めた「仲道郁代ピアノ・フェスティヴァル」の第2弾も(東京芸術劇場)。仲道と、横山幸雄、菊池洋子、實川風、松田華音、藤田真央という日本のトップ・ピアニスト6人が勢揃い。超絶技巧編曲による名曲の数々を、前半は2台ピアノ、後半は5台ピアノ(!)で弾きまくる。「昨年の第1回は、出演したピアニスト全員、もう、戦いのようでしたよ。参戦、という感じです。かっこいいコンサートですよ。すごく楽しいと思います!」というピアノの夏祭り。こちらも見逃せない!
取材・文:宮本明
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