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NISSAY OPERA 2019『ヘンゼルとグレーテル』が、いよいよ今週末に開幕。ひと足早くゲネプロを観る機会に恵まれた。
ニッセイ文化振興財団が、オペラのファン層を広げようと最高水準の舞台を手ごろなチケット料金で上演するNISSAY OPERAシリーズ。2019年ラインアップの1作目である本作は2013年の初演をよりパワーアップさせたもので、今回も蜷川幸雄やジョン・ケアードの舞台や数多くのミュージカルに携わってきた広崎うらんが演出・振付を手がける。
まず圧倒されたのは、マイクなしで劇場全体に歌声を響き渡らせるソリスト6人の声量。オペラ鑑賞ビギナー向けに日本語訳詞で上演されており、高音でもハッキリとした発声で聞き取りやすい。母の言いつけで森にイチゴを摘みに行った兄妹が、恐ろしい魔女のつくったお菓子の家を見つけて……というグリム童話を原作とするストーリーが自然と頭に入ってくる分、舞台上で繰り広げられる展開や演出効果を楽しむことに集中できた。ステージの両サイドには歌詞の字幕が表示されており、観劇に不慣れな初心者や子どもにやさしい。
天使が幻想的に舞う、1幕ラストの美しさには特に目を見張った。森の中で怪しくうごめく14人のダンサーが次々に端切れを脱ぎ捨て、均整の取れた体つきを露わにしながら天使へ変身する。ヘンゼルとグレーテルの周りで繰り広げられるダイナミックながらも華麗な群舞に見とれていると、無数の羽根が降ってきて……。夢幻の森のかなたへ消えていく天使の後ろ姿と舞い散る羽根をバックに緞帳が降り、2幕への期待を高めた。
まるで本の中から飛び出してきたようなメルヘンなお菓子の家、鬱蒼とした森の舞台美術も観客の目を惹きつける。そのステージを縦横無尽に駆け回る兄弟を筆頭に、彼らの両親や眠りの精・露の精といった登場人物のキャラクタービジュアルも非常にユニークでカラフル。特に男性ソリストが演じる魔女の網タイツ姿や衣装の変化に着目したい。ドイツの作曲家、エンゲルベルト・フンパーディンクが手がけた優美な音楽を奏でるオーケストラは、角田鋼亮の指揮による新日本フィルハーモニー交響楽団だ。
公演は6月15日(土)・16(日)に東京・日生劇場にて。チケット発売中。
取材・文:岡山朋代
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