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「炎のコバケン」のニックネームで多くのファンに愛される指揮者・小林研一郎。来年80歳の誕生日を迎える巨匠の節目を記念する「祝祭演奏会」シリーズが、早くも今年9月、ハンガリー放送交響楽団の来日でスタートする。いわば前祝いだ。
ハンガリーは、小林にとって、1974年の第1回ブダペスト国際指揮者コンクール優勝で国際的に飛躍した思い出の地であり、それ以来ヨーロッパでの拠点となってきた第二の故郷。いまも1年に計2か月ほどはブダペストに滞在する。「愛されているんですね。ありがたいことです。ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団の桂冠指揮者や、ハンガリー・ブダペスト交響楽団でも名誉指揮者のタイトルがあります。ハンガリー放送交響楽団は、1974年のコンクールで、二次選考から本選までを指揮したオーケストラで、毎年2度ぐらいは必ず指揮して、良い関係が続いています。当然ですが、45年前の楽員の方々はもういなくなりましたが、伝統的に受け継いでいるものはあると思います。放送局のオーケストラということもあってか、熱烈です。いつでもテレビやラジオの放送が付いてまわりますから、人間の緊張力が独特な形で現れてきますでしょ。それがいいのかもしれません」
公演では、チェコの作曲家ドヴォルザークのチェロ協奏曲(独奏:宮田大)と交響曲第8番を指揮する。チェコ・フィルでも重要な仕事を重ねてきた小林のキャリアを象徴するような組み合わせということになる。「ハンガリーのオーケストラというのはカメレオンみたいに変幻自在なんですね。ドヴォルザークの8番でも、随所に聴こえてくる切なさ、葬送行進曲、それから甘くて甘くてしょうがないメロディ。すっとしゃれた音楽。それから瞬間に前に進むような変化というのが随所に現れてきます。ですからぜひ、ここでしか聴けない、わたしたちの音楽に耳を傾けてください。必ず聴いてよかったと思っていただけると確信しております」
チェロ独奏の宮田大については、「心血を注いだ音を出すチェリスト」と高く評価する。「前から素敵でしたけど、ある瞬間からすごく大きくなったんです。たくましく美しく、とても豊かになりましたね。それから、たとえば、こちらがオーケストラに、ここは実は葬送行進曲なんですとお願いすると、途端に彼、それまで朗々と弾いていたのを、音を変えてくれますよ。素晴らしいですね」
80歳祝祭演奏会は、もちろん来年にピークが来る。全貌は発表を待たなければならないが、どうやらチャイコフスキーの交響曲を(マンフレッド交響曲まで含めて)まとめて聴かせてくれるらしい。そしてもちろん、「1番好きな世界」という、2020年がメモリアル・イヤーのベートーヴェンも、シリーズ以外の機会でたくさん聴くことができるにちがいない。「傘寿」を迎えてますます意気軒昂なわれらがコバケン。その楽しみなメモリアルを、まずは9月、客席で祝おう!
取材・文:宮本明
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