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9月3日、新国立劇場でのベートーヴェン《フィデリオ》で2020/2021シーズンの幕を開けた東京二期会オペラ劇場。初日前日には、早くもその次の2021/2022シーズン(2021年9月〜2022年7月)のラインアップが発表され、6月に新理事長に就任したばかりの清水雅彦氏(経済学者/慶應義塾大学名誉教授)らが出席して記者会見が行なわれた。
新シーズンのテーマは「誘惑の綾」。さまざまな誘惑が綾なす人間模様に注目だ。各演目ともキャストなど詳細の発表は後日。
[2021/22シーズン・ラインアップ]
2021年9月●モーツァルト《魔笛》 大きな話題を呼んだ2015年宮本亞門演出が待望の再演。リオネル・ブランギエ指揮。
2021年11月●J.シュトラウス《こうもり》 ベルリン・コーミッシェ・オーパーとの提携で制作したアンドレアス・ホモキ演出のプロダクション(2017年)。川瀬賢太郎指揮。
2022年2月●R.シュトラウス《影のない女》(新制作) 現代屈指の演出家ペーター・コンヴィチュニーと二期会の6作目のコラボ。ボン歌劇場との共同制作だが、東京がワールド・プレミエとなる。アレホ・ペレス指揮。
2022年4月●プッチーニ《エドガール》(新制作/セミ・ステージ形式上演) 東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ。上演機会の少ないレア作品。指揮はイタリア・オペラの紹介を使命とする鬼才アンドレア・バッティストーニ。
2022年7月●ワーグナー《パルジファル》(新制作) 開幕の《魔笛》に続いて再び宮本亜門登場で、こちらは新演出。フランス国立ラン歌劇場との共同制作で、すでにフランスでは今年1月に初演されて好評を得ている期待のプロダクションがいよいよ日本で見られる。セバスティアン・ヴァイグレ指揮。
なお、感染症拡大の影響で延期された、今年4月上演予定だったサン=サーンス《サムソンとデリラ》(東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ/セミ・ステージ形式)と、7月予定だったベルク《ルル》(カロリーネ・グルーバー演出による新制作)は、それぞれ2021年1月と8月に上演される。
これに加えてこの日、公演動画の無料インターネット配信の開始も発表された。当面は、9月の《フィデリオ》以下の数演目を、YouTubeで配信する。これは経済産業省が文化コンテンツの海外展開を支援する助成金「J-LOD」を活用した事業で、英語字幕をつけ、感染予防対策の紹介なども盛り込んだドキュメンタリーとすることで、海外の劇場関係者への情報発信の意味合いも含めたプロジェクト。海外向けではあるが、もちろん国内でも視聴可能だろう。新しい試みに期待したい。
なお会見には、今年11月の《メリー・ウィドウ》(沖澤のどか指揮)のハンナ役のソプラノ嘉目真木子と、来年7月の《ファルスタッフ》の題名役に起用されたバリトン今井俊輔も出席。抱負を熱く語って花を添えた。
取材・文:宮本明
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