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2020年は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770〜1827)の生誕250年のメモリアルイヤー。今年は各地でさまざまなベートーヴェンの作品を演奏するコンサートが企画されていたが、コロナ禍の影響で多くの演奏が中止となった。そのなかでヴァイオリニストの滝千春とピアニストの斎藤龍は、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏をライヴストリーミングで発信することに決めた。ベートーヴェンの誕生月である12月に、14日から18日まで「ベートーヴェンウィーク」として各日20:00からPIA LIVE STREAM(アーカイブ配信有)において、滝千春と斎藤龍のデュオによるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏が配信される。
ふたりは10年前、留学先のチューリッヒ芸術大学のコンクールでベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第1番を演奏して優勝の栄冠に輝き、以後ソナタ全曲演奏を目指して研鑽を積んできた。滝千春が語る。
「ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは、ピアノがとても重要な役割を担います。斎藤さんはベートーヴェンを得意とし、深く研究していますので、もっとも理想とするパートナーです。全10曲はそれぞれ個性があり、ベートーヴェンのあらゆる面が表現されていますが、私は特に第6番の第2楽章に魅了されています。あまりにも美しいメロディに、泣きたくなってしまうくらいです」
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは、ふたりの楽器がひとつの“声”になることが要求される。それを目指し、彼らは音の対話とその融合を存分に楽しんでもらえるようリハーサルを重ね、収録に臨んだ。斎藤龍がいう。
「ベートーヴェンは人間味あふれるやさしい人だったと思います。多くの作品の緩徐楽章(第2楽章)を見ると、非常にしなやかで感動的な美を備えています。ベートーヴェンはピアノの名手でしたから、ピアノにとても多くのものを要求しています。私は昔から第4番をこよなく愛しているのですが、いずれのソナタもヴァイオリンとともに何か新たなものを作り出していく演奏をしたいと思います」
滝千春と斎藤龍のヴァイオリン・ソナタ全曲演奏は、コロナ禍の時代にひと吹きの涼風を吹き込んでくれるに違いない。彼らはベートーヴェンの神髄に迫り、その奥に潜む人間性を描き出し、作曲家の魅力を浮き彫りする。ベートーヴェン・イヤーの最後を飾るデュオ、心に響く演奏が生まれる瞬間が待ち遠しい。
伊熊よし子
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